事例研究

                  ポケモンショック

(1)ポケモンショックとは?

1997年12月16日に放映された人気テレビアニメ「ポケモン」を見ていた子供たちの一部が、意識を失ったり痙攣などの発作を起こして病院で手当てを受けたことを一般に「ポケモンショック」と呼んでいます。全国で、およそ4百15万世帯の子供が番組を見ていたと推定されていますが、そのうち約700人が病院で手当てを受けた(共同通信社発表)と報告されています。

しかし、このような被害者の発生は、少しずつではありますが以前から知られていました。ポケモンショックの際には、ちょうどそのような発作を起こしやすい年齢の子供たちが対象となる番組であったこと、使用された映像が、今までにこのような被害をもたらした映像と比較して格段に強烈であったことなどが重なり合って、このような多くの被害者を出してしまったと考えられます。


(2)ポケモンショックは何故起きたか?

ポケモンショックは、映像に含まれる明るさの明滅、色の明滅によって引き起こされたと考えられています。簡単にいうとチカチカ映像が非常に高速で、繰り返し(よく番組の最後に近い部分で使われたチカチカ映像が取り上げられますが、番組全体にわたって数回の危険なシーンがありました)、しかも長く使用されたために生じた発作です。

一般に、てんかんという脳の神経回路のちょっとした感受性の違いにより、何かをきっかけに意識を失ったり痙攣などの発作を起こす人がいます。このうち、その発作のきっかけが光の点滅によるという人がいます。そういう感受性を持った人は、たとえば高速道路のフェンスで規則的に陽の光が洩れてくるような場所などでも発作を起こすことがあります。

テレビのチカチカ映像もこのきっかけになります。また、細かい縞模様などの規則的なパターンもきっかけになることがあると報告されています。この発作は、大人になってから初めて起こすことはまれなので、子供の方が起きやすいといえます。また、感受性が強い人は繰り返し発作を起こしてしまう傾向があります。英国ではポケモンショックの前に、すでにチカチカ映像を使用したCMにより被害がありましたので、民放では映像制作に対するガイドラインが定められていました。

ポケモンショックでは、あまりの強烈な映像のために、この様な感受性を持った人たちだけではなく、普通の子供の中にも発作を起こした人がいるのではないかと言われています。

(3)ポケモンショックに学ぶこと


このできごとのあとには、テレビアニメでは必ず「暗い部屋で見るのはやめましょう」「テレビに近づきすぎないように注意しましょう」などの文章が、番組の始まる前に流されています。このような注意をちゃんと守れば、こういった出来事は減ると考えられます。また、テレビを見る場合は、特に子供の場合は一人で見ない方が安全でしょう。

テレビ局でも、こうした危険性のある映像を流さないようにチェックしています。テレビ番組制作者もそのような映像を作成しないように注意しています。そのために専門家が指摘した危険性を、文章としてまとめて守るべきとしたテレビ団体のガイドラインや、それを客観的にテストできるように、映像を数字化して危ないかどうか判定する機械などがあります。このような体制ができているために、ポケモンショックのような出来事は減っていますし、これからもあらたな犠牲者を出さないような注意がなされて行くでしょう。

しかしながら、このような処置で99.9%の危険を取り除いたとしても、「絶対に安全」というわけではありません。ほとんどの人が何も感じない映像でも、被害を受けてしまう人もいますし、また、例えば、ニュースなどでフラッシュが激しく使用されるインタビューシーンや、映画などをテレビ局でテレビの放送用に直してしまっては映画製作者の許可が得られないという場合には、注意を促した上でそのまま放映されることがあります。ですから、最終的には見る側の人が注意を払うことが決め手になります。つまり、テレビを見る時にも健康を害したりしないような注意を払うことが大切です。

ここまでにお話したように、テレビ放送には可能な限り被害者の数を低減するように対策がとられています。しかし、市販されている(あるいは貸し出されている)ビデオテープやDVDでは、危険な映像を含む場合でも、制作者側が自分で問題ないと考えれば売ることができるというのが現状です。一部の音楽映像、特にライブを含む音楽映像では、見ている人の興奮を高めるために故意に危険な手法がとられている場合がありますので注意してください。さらに、ポケモンの映像よりもはるかに強烈なものも存在します。

また、ビデオゲームの映像でも、危険なシーンが多数あります。ゲーム機メーカーは、各社で自主的な基準を設けそのような被害がでないようにしていると主張していますが、実態は公開されていません。特に、ビデオゲームは、すべてのシーンがあらかじめ用意されているテレビなどのコンテンツとは異なり、ゲームによってはソフトによりゲーム機に内蔵されたコンピュータがプレイ中にストーリーを作成していく映像もあるため、あらかじめすべての映像をチェックしておくことは不可能であるとも主張しています。この場合も、使用者が自分を守るために自分で注意しなければならないということになります。インターネットなどを通じて入手できる映像についても同様な注意が必要です。

注意をするといっても、具体的にどうすればよいのかよくわからないという人が多いでしょうが、専門家でないとはっきりとは判断できませんので、「チカチカするなど激しい映像」を含んでいると思ったらまず見るのをやめてください。次に、見ていて疲れたり気分が悪くなったら直ちに見るのをやめるというのが基本になります。信頼できる制作者の製品のみを使うという判断も重要と思われます。

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ポケモンショックの経緯を調査し 分析しました。